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2018年10月03日 (水) | 編集 |
奥田英朗さんの惨めな生活系小説としては過去に『最悪』と『無理』の2冊を読んできましたが(誰かが2文字系小説と言ってた)、今回読んだ『邪魔』も中々に悲壮感漂う小説でした。
むしろほかの2冊よりも登場人物たちの成り行きや結末の後味悪さという点で過去2冊を凌駕しているかもしれない、一ページ一ページがみぞおちフルアタックのような重さです

物語の中心にいるのはどこにでもいるような満たされた生活を送っている主婦の及川恭子です。それなりに規模の大きい安定した企業に務める旦那とかわいい子どもたち2人を家族に持ち、マイホームもあって幸せな人生を歩んでいます。特に何事もなく平穏な人生を歩んできた彼女ですが、旦那の職場で放火が起きるという事件をきっかけにそのなんの問題もなかった生活に徐々に崩壊の影が差し込んできてしまいます。

この放火事件に捜査担当の刑事・九野の側の視点、そして一見なんの関係もなさそうなヤングレ高校生・裕輔の側からの視点が絡み合って物語が進行していきます。このまったく無関係な場所にいる複数視点からの進行というのは奥田さんの小説のいつものパターンなのですが、今回の『邪魔』では関わる人たちの醜さや悪い意味での人間臭さがこれでもかとエグいぐらいに見せつけられたのでなかなかに読み進めづらかったです(笑)


------------【続きはここから】--------------

一連の事件を通してそこに関わる人の心理描写や生活を中心に話を進めるという、どちらかというと事件の謎よりも人間描写が中心になるドラマ系推理小説といえばまずは東野圭吾さんの作品が思い浮かびます。私はこういう人間の心理を克明に描く作品のほうが好きなのですが(当然東野さんも大好きな作家さんの1人です)、今回の奥田さんの推理小説はその心理描写がグロテスクと呼べる範囲まで描ききってあって終始非常に鬱々しながら読み終えました(爆)

やはり奥田英朗さんの人間心理を書ききるレベルはずば抜けている、と今回の作品を読んで感じてしまいました。それだけの人間への観察力と鋭い表現力は舌を巻くレベルです。特に今回の登場人物はよくある推理小説なら正義の象徴となる刑事たちまで色々とどす黒くて、しかもそれが小説の中特有の突飛さではなくてとても現実的な分だけ良い意味でも悪い意味でも気持ち悪い人ばかりでした(笑)主婦の恭子のひたむきさと九野の色々と苦労している様だけが救いかな(笑)

あと終わり方もなんだか納得がいきませんでしたね。ネタバレは避けますがあれだけ家族を思っていた恭子が・・・ねぇ、という感じで。でも恭子には幸せになってほしいです。後味の悪い終わり方の中で彼女の行く末にほんの一筋の光を感じるところが読破後の胸モヤを若干和らげて気持ち悪さを引きずらないことに貢献しています。


まあそういうわけで今回の『邪魔』も『最悪』や『無理』と同じくスッキリしない重たーい小説です。気分が落ち着いている時に読みましょう。

あと最後にもう一つ付け加えるならタイトルの『邪魔』ですが、これが若干あってないような感じがしますね。まあたしかに登場人物それぞれに「邪魔」になる人間が立ちふさがるわけですけど。どちらかというと人間以外の要因のほんの些細な事や行動をきっかけに今までの生活がガラガラと崩れていくような感じのする小説でした。
私が読み終わって抱いた感想では他人による『邪魔』というよりは、今まで見て見ぬふりをしてきた(もしくは気づかなかった)足元にあったちょっとした亀裂に躓いてそれまでの生活が「崩壊」してしまうというイメージです。

ということで奥田さん、この小説のタイトルを『崩壊』に変えてみてはいかがでしょうか?



   



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