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2018年10月10日 (水) | 編集 |
ほわっとした感じの柔らかい表紙の『向田理髪店』。向田理髪店の店主・康彦の周りで起きるドタバタ劇なのですが、表紙の手にとりやすさに比べて中身は寂れゆく田舎町の陰鬱な物語でした(´_ゝ`)
過去にも『無理』とか書いているあたり奥田さんは田舎の過疎化問題に関心でもあるのでしょうか?まあ今回の『向田理髪店』は『無理』に比べるとまだ文体が穏やかで置かれた状況も最悪とまではいかないので心穏やかに読める範疇ですがね・・・。

今作は一章ごとに分かれており全部で六章構成、それぞれ田舎町にあるあるなちょっとした事件が起きます。おそらくライト層向けにデフォルメして書いたためか『無理』や『邪魔』よりは読みやすく厚さもさほどないのですが、それぞれの事件がちょっとうまくまとまりすぎている気もしなくもない、と思ってしまいましたねぇ。


------------【続きはここから】--------------

以下章ごとの短評です。


・向田理髪店

【あらすじ】
北海道の過疎化が激しい苫沢町で理髪店を営んでいる康彦の所に札幌で働いていた息子の和昌が帰ってくるという。地元活性化のためにここで理髪店をやるという息子の宣言に対し康彦は大反対。なんとか息子を説得しようとするが・・・


このお話の舞台・苫沢町は過疎化しすぎて町に理髪店が2軒しかないような寂れた町です。かつては炭鉱で賑わっていたものの、閉山するとともにどんどん人がいなくなって町は地域振興のためにハコモノを作りすぎて大赤字、首元に死神の鎌が引っかかっているような瀕死寸前のような町だとか。あれ、どっかで聞いたことがあるような・・・?

とっくに地元を見限っていた康彦の元に地元を盛り上げんと和昌が帰郷します。そりゃ大反対しますよね。大型輸送船から幽霊船に乗り換えるようなものですよ(´・ω・`)
しかし実際こういう例はあるんだろうなぁ~と。地元の青年組合が盛り上げようとしてあれやこれや策略して尽く失敗するとか(笑)
これから少子化や若者の田舎離れが進むとこういう問題に突き当たる過疎町はどんどん出てくるんでしょうねぇ。私も康彦と同意見、さっさと地元を見限って脱出したほうが良いと思うのですが・・・。


・祭りのあと

【あらすじ】
過疎町が唯一盛り上がる季節、一年に一度の地元の夏祭。この時期は子供を連れて帰郷する夫婦も多く、苫沢町の住人も楽しみにしていた。しかしそんな夏祭り直前に地元の年寄りがぶっ倒れて病院に担ぎ込まれる。


お年寄りの一人暮らしだとよくある案件ですねぇ。今回ご老人は息子からとても心配されていて色々手を尽くしてくれるからまだいいものの、現実では親が長期入院したりするのを邪魔に思うような人でなしもいるわけで・・・。まあ色々と忙しい現代では親の介護に縛り付けられたくないってのも分かりますがね。お金もかかるし。
中には親の年金を当てにしてちょっとでも長く生かしてくれというさらにグレードアップした鬼でなし(この場合は鬼である、か?)までいますからね。これは過疎地だけでなくともどこにでも起こり得る現実に即した面倒な問題ですね。


・中国からの花嫁

【あらすじ】
ずっと独身だった四十歳の野村大輔が結婚したという。しかも中国から迎えた嫁らしい。たいしたイベントが起きない小さな町では他人の結婚でも大騒ぎでいつのまにやら住人全体が祝賀ムードに。しかし当事者の大輔はいっこうに花嫁を紹介しようとせず、それどころか人目を避けて逃げ回っている様子。


こういうのが田舎の嫌なところなんですよねぇ~。プライベートが全然ない!他人の結婚などというたいして関係のない事柄でも目ざとく見つけてはヒソヒソヒソヒソ。しかも中国からお嫁さんを見つけてきたという事例でしょう?この苫沢町では歓迎ムードですけど現実じゃ好奇心(といえるほどキレイなモノじゃないのがまた・・・)の塊みたいな住人たちの格好の噂話のエサですよねぇ(;´Д`)

まあそれはともかくこの章の主題の中国からの花嫁。少子化の現代ではどこの農村でも抱えてそうな話です。結婚相手が見つからないから、または後継者がいないから中国あたりからお嫁さんを捕まえてこようなんて話。まあ中国人だけではないですが。そうやって外国人を身内に迎えているうちにそのうち日本人より外国人のほうが数が多くなってしまってしまいには村を乗っ取られるなんてことにはならないのでしょうか?
わざわざ農家に嫁に行きたくないって気持ちも分かりますし、迎える側の当事者からしたら所詮人ごとだから言えるんだろ、というのもすごくよく分かるのですが外国人がどんどん流入してくるのは怖いですねぇ・・・。

しかもこの話の中では快く迎え入れられてますけど現実の田舎だと周りから好奇の目で見られ続けてことあるごとにニヤニヤヒソヒソされるのでしょう?私がそういう立場になったらやってられんですわー。


・小さなスナック

【あらすじ】
住人の入れ替わりがほとんどないため新規に店ができることもほとんどないような苫沢町に新しくスナックができた。しかもママさんがすごい美人であると噂に。町の男たちはすっかりママさんに入れ込んでしまい通いつめるように。


田舎町ってこうなんですかね?新たに店ができたというだけでこんなに浮つくとは。娯楽の少ない田舎は(ry まあ今回は特に感想はないです()


・赤い雪

【あらすじ】
苫沢町が映画のロケ場所に選ばれた。しかも主演女優は超大物の大原涼子。地元が映画の舞台になる、しかも大原涼子が地元に来る、その事実にすっかり舞い上がった住人たちは大張り切りで映画撮影に協力しようとするが・・・。


この章も田舎のいやらしさを存分に表してますねぇ。田舎独特のしがらみ争い。やれあっちの店を使えだのこっちの顔も立てろだの。仲介する人の苦労も素知らぬ顔して自分たちの利益追従ばかり(笑)たしか『邪魔』とか『無理』でも同じような癒着・持ちつ持たれつ(という名のしがみつき合い)シーンがいくつもあったと思いますが、あっちの迫真さに比べればまだマイルドなのが救いどころでしょうか。人口も店も多い都会ではこんなことはそうそう起こらないでしょうに。おまけに手のひらクルーもお手のもの。

まあそれは置いておいて映画やドラマやアニメで地域振興を図った例は現実でもいくつもありますね。アニメに登場したのを売りにして聖地巡礼(笑)とか。ファン側が望んでやるならともかく地元がそれを積極的に売り出したりとか。ああいうのって一時的な盛り上がりで終わらないで成功した例はあるんでしょうかね。映画やアニメに登場したってのを地元の売りにして盛り上げようとしてもその地元そのものに魅力や価値がないと結局一時的なブームで終わってしまうと思うのですけどね。


・逃亡者

【あらすじ】
苫沢町出身の若者が東京で犯罪を起こして逃亡。地元に逃げてくるのではと判断した警視庁の捜査官やマスコミまでもが苫沢町で張り込みに。大きな事件など滅多に起こらない狭い田舎町では一気に住民たちの話題のタネに。


今まで現実的な問題を扱ってきておいて最後の章でこれは非現実的ですねぇ。まあ締めくくりにということで大きな話を持ってきたのだろうとは思いますが。
私なりに現実的な線から今回の事件を考えてみると、東京で犯罪を起こしておきながら北海道の田舎町まで逃げてくるとは思えませんね。狭い町だからすぐに見つかって広まってしまうでしょうし警察だって地元に戻るのを見越して張り込みをさせるくらい素人でも予想できるでしょう。だれかが人の多い東京が一番隠れやすいみたいなことを言っていたことがありますが本当にそうかもしれませんねぇ。

またこの苫沢町では身内から犯罪者を出してしまった家族をみんなで暖かく庇い見守っていますがこれも現実的な視点からだとかけ離れているようにしか思えませんね。実際の田舎だったら犯罪者の家族だということで白い目で見られてヒソヒソ攻撃ならまだましなほう、酷いとみんなで寄ってたかって袋叩き、ご家族に温かい言葉をかける代わりにご家庭の壁に温かくない言葉を書ける、お家に食事を差し入れどころか窓から石を差し入れなんて光景が繰り広げられるのではないでしょうか。私の心がすさんでいるだけですかね?

最後は町はひとつ、みんなで守っていこう!と感動路線で締めくくってますが実際なら町の汚点、みんなで排除しよう!とつまみ出す(または夜逃げ)とバッドエンドが落ちでしょーか!どうしたんでしょう今回の奥田さんは。若干生ぬるいですよ!




     
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